事業目的とは、会社が営む事業内容のことです。
事業目的は定款の絶対的記載事項です
事業目的は定款に必ず記載しなければなりません。
定款に目的が記載されていないと、その定款は無効とされてしまいます。
事業目的は登記事項です
事業目的は登記事項であり、登記事項証明書(登記簿謄本)に記載されます。
登記事項証明書(登記簿謄本)は、申請さえすれば誰でも取得することができます。誰でもあなたの会社が何をしている会社なのかを知ることができます。
事業目的は外部に対してあなたの会社が「何をする会社なのか」を明らかにする意味もあります。
事業目的を決める上での3つのルール(事業目的の適格性)
事業目的を決めるにあたっては、守るべき3つのルールがあります。
- 明確性
- 適法性
- 営利性
これらのことを事業目的の適格性といいます。
1.明確性
明確性とは、目的に用いられている語句の意味が明らかであり、目的全体の意味が明らかであることをいいます。特定の業界だけに通用する用語は、明確性を欠くものとして使用できません。
「広辞苑」などの国語辞典や「知恵蔵」「イミダス」「現代用語の基礎知識」などの現代用語事典に記載があると、明確性があるとされているようです。
(登記研究平成21年3月号157p)
事業目的に使える文字は原則として、漢字・ひらがな・カタカナのみです。ローマ字を含む表記方法が社会的に認知されている語句は、目的の明確性の要請に反しない限り、目的の登記に用いても差し支えないとされています。
例)「OA機器」、「H型鋼材」、「LPガス」、「LAN工事」
(平成14.10
ローマ字による用語や専門用語等を使用する場合には、それらが一般に市販されている用語辞典に掲載されているなど、広く社会的に認知されているものでないときには、登記申請が受理されない場合もあります。これらの場合には、ローマ字による用語や専門用語の後に括弧書きで当該用語を説明することをお勧めします。
(法務省株式会社設立登記申請書記載例Ver3.0)
2.適格性
事業目的の内容が法令や公序良俗に反していないことが必要です。
法令で弁護士、司法書士等の独占業務とされている業務も事業目的とすることが出来ません。
3.営利性
会社は利益を得ることを目的として、言い換えると営利を目的として、設立されます。このことから、「事業目的は営利性のあるものでなくてはならない」といわれることがあります。が、実はそうではありません。非営利の活動のみを目的にすることはできないと考えれば構いません。
具体性
以前は、会社の目的は具体的であることが求められていました(具体性)。
現在は具体性は求められていませんが、どのような事業か分かる程度には具体的に記載することが望ましいと言えます。
会社が行なえる事業
会社は、定款に記載された事業のみを行なうことができます。定款に記載されていない事業を行なうには定款変更が必要ですので、将来行なう予定の事業も記載しておきます。
ただし、あまり関連性のないものを記載しすぎると、会社の信用性に関わることもありますので、むやみやたらと多くしないようにします。また、許認可が必要な場合、不利益を受ける可能性もあります。
事業の内容によっては許認可が必要なものも
事業内容によっては、官公庁の許認可が必要なものがあります。
許認可が必要な事業の場合、事業目的の書き方によっては許認可を取れないことがあります。定款に定める目的で大丈夫かどうかを管轄の役所に事前に確認することをお勧めします。