会社設立のきほんのき:会社名の決め方
覚えやすい名前、分かりやすい名前にすることが大事です。難しい漢字や読み方が分からない当て字などは避けましょう。
基本的に好きな名前を決めればいいのですが、いくつかルールがあります。
会社名には会社の種類を含める
会社名には「株式会社」や「合同会社」といった会社の種類を含めなければなりません。場所は、会社名の前(前株といいます)でも会社名の後(後株といいます)でも、問題ありません。
- ひらいし株式会社、株式会社ひらいし
- ひらいし合同会社、合同会社ひらいし など
データとしては、古くからの企業が多い東証一部上場企業では後株(あとかぶ)の方が多く、新興企業が多い東証マザーズでは前株(まえかぶ)の方が多いというものがあります。
人は文字の最初から覚えるので、社名を先にして会社の種類を後にした方がいいという人もいます。
いずれにしても、前株(まえかぶ)、後株(あとかぶ)に決まりはありません。
会社名には使用が禁止されている文字がある
会社名には法令で使用が禁止されている文字は使用できないなどの制限があります。例えば、銀行業を営まない会社は「銀行」という文字を使用できませんし、保険業を営まない会社は「保険」という文字を使用できません。
その他には、次のような制限があります。
- 「支店」「支社」「出張所」という文字は使用できません(大10.10.21民事2223号回答)。
- 「支部」は登記できるとされています(平成21.7.16民商1678号回答)。
- 「代理店」「特約店」は認められています(昭29.12.21民事甲2613号回答)。
- 「事業部」「不動産部」「出版部」「販売部」のように、会社の一営業部門を示すような名称を用いることはできません(登記研究404号)。
使える文字・符号
商号に使える文字や符号には制限があります。使える文字・符号は、下表のとおりです。
1 | 漢字 |
2 | ひらがな |
3 | カタカナ |
4 | ローマ字(大文字・小文字) |
5 | アラビヤ数字(0,1,2,3,4,5,6,7,8,9) |
6 | 「&」(アンパサンド)
「’」(アポストロフィー) 「,」(コンマ) 「-」(ハイフン) 「.」(ピリオド) 「・」(中点)} ※これらの符号を使用できるのは、字句(日本文字を含む)を区切る際の符号として使用する場合に限られます。 |
使える文字について詳しくは、法務省のホームページ『法務省:商号にローマ字等を用いることについて』を参照してください。
同じ住所で同じ名前の会社は登記できない
同一の所在場所(会社住所)で同じ商号の登記は法律で禁止されています。
近所に同じ名前の会社があっても、住所が違っていたら問題ありません。同じビル内でも、フロアが違っていたりして、会社の住所が違えばOKです。
住所が同じとは?
ビルやマンションの一室に会社をおく場合には注意が必要です。
同じ建物(ビル・マンションなど)で部屋番号が違っても、「同一住所」にあたる場合があります。同じ建物内に同一の商号の会社がないかどうかを必ずチェックしましょう。
本店所在地「千代田区千代田1丁目1番 千代田ビル101号室」を例にすると
- 「千代田区千代田1丁目1番 千代田ビル」は同一住所にあたります
- 「千代田区千代田1丁目1番 千代田ビル 102号室」は同一住所にあたりません
商号が同じとは?
「株式会社ひらいし」という商号を例にすると、以下の商号は同一の商号にあたります。
- 「株式会社ひらいし」(まったく同じ)
- 「ひらいし株式会社」(「株式会社」のつく位置が異なる)
同 じ商号にあたらないからといって、有名な企業や近隣の会社と同じような商号で同じような事業をする会社を設立すると、「不正競争防止法」などの法律に触れ る可能性があります。その場合、商号使用の差止め訴訟を起こされたり、損害賠償請求される可能性もあります。注意してください。
商号の調査をする
会社名が登記できないと、定款を作り直して、公証人の認証を受け直さなくてはなりません。手間と費用が余分にかかってしまいます。
これらのことを考え、これから付けようとしている商号を使えるかどうかを調査しましょう。
商号の調査とは
会社の設立登記の申請をする前に、設立をしようとする会社と同一商号で、本店の所在場所も同一の会社が既に登記されていないかどうかを調査することを「商号調査」といいます。
商号調査の方法
商号を調査するには次の方法があります。
- 会社の本店所在地を管轄する登記所に設置されている専用端末を利用する(無料)
- オンライン登記情報検索サービスを利用する(商号調査のための検索のみを行なう場合は無料で利用できます。ただし、登録は必要です。)
オンライン登記情報検索サービスについては、法務省のホームページ『法務省:オンライン登記情報検索サービスを利用した商号調査について』をご覧ください。 - インターネットの検索エンジンで検索する
- 「特許電子図書館」で商標登録されていなかどうかを調べる(無料)
会社名を決める時に考慮したいこと
会社名でドメインを取得出来るかを考慮する
最近では、独自ドメインを取って、インターネットを活用するのが当たり前になっています。会社名でドメインを取れるかどうかを事前にチェックしておきましょう。
覚えてもらいやすい会社名にする
会社名はなるべく覚えてもらいやすいものにしましょう。あまりに長い社名や声に出して発音しにくい会社名は、覚えてもらえないかもしれません。短く、発音しやすく分かりやすい会社名にしましょう。
由来を理解してもらいやすい会社名にする
会社を設立すると、その会社名にした理由を聞かれることがあります。聞いた相手に「なるほど!」と思ってもらえるような会社名なら、会社名を覚えてもらいやすくなります。