業務改善助成金の概要
業務改善助成金は、中小企業・小規模事業者の生産性向上を支援し、事業場内で最も低い賃金(以下、事業場内最低賃金といいます)の引上げを図るための国の制度です。
生産性向上のための設備投資などを行い、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部が助成されます。
業務改善助成金は厚生労働省の助成金です。
以下では、令和5年度の業務改善助成金について厚生労働省のホームページおよび資料を基にして説明しています。
申請期限: 2024年(令和6年)1月31日
※業務改善助成金は予算がなくなったら、申請期間内でも募集が終了します。
業務改善助成金が拡充
2023年(令和5年)8月31日から業務改善助成金が以下のとおり拡充されました。
- 対象となる事業場について、事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内から50円以内に拡大
- 事業場規模50人未満の事業者について、賃金引上げ後の申請を可能とする
- 事業場内最低賃金額に応じて設けた助成率の区分を30円引き上げる
業務改善助成金の対象者
- 中小企業・小規模事業者であること
- 事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内であること
- 解雇、賃金引き下げなどの不交付事由がないこと
中小企業・小規模事業者
中小企業・小規模事業者とは、以下のAまたはBの要件を満たす事業者です。
業種 | A 資本金または出資額 | B 常時使用する労働者の数 |
---|---|---|
小売業 | 5000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5000万円以下 | 100人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
その他 | 3億円以下 | 300人以下 |
業務改善助成金支給の要件
- 賃金引上計画を策定すること
事業場内最低賃金を一定額以上引き上げる(就業規則等に規定) - 引上げ後の賃金額を支払うこと
- 生産性向上に資する機器・設備やコンサルティングの導入、人材育成・教育訓練を実施することにより業務改善を行い、その費用を支払うこと
(単なる経費削減のための経費、職場環境を改善するための経費、通常の事業活動に伴う経費などは除きます。) - 解雇、賃金引下げ等の不交付事由がないこと など
業務改善助成金の助成額
申請コースごとに定める引上げ額以上、事業場内最低賃金を引き上げた場合、生産性向上のための設備投資等にかかった費用に助成率を乗じて算出した額を助成します(千円未満端数切り捨て)。
申請コースごとに、助成対象事業場、引上げ額、助成率、引き上げる労働者数、助成の上限額が定められています。
コース 区分 |
事業場内 最低賃金 の引上げ額 |
引き上げる 労働者数 |
助成の上限額 | |
---|---|---|---|---|
右記以外 の事業者 |
事業場規模 30人未満 の事業者 |
|||
30円コース | 30円以上 | 1人 | 30万円 | 60万円 |
2~3人 | 50万円 | 90万円 | ||
4~6人 | 70万円 | 100万円 | ||
7人以上 | 100万円 | 120万円 | ||
10人以上 | 120万円 | 130万円 | ||
45円コース | 45円以上 | 1人 | 45万円 | 80万円 |
2~3人 | 70万円 | 110万円 | ||
4~6人 | 100万円 | 140万円 | ||
7人以上 | 150万円 | 160万円 | ||
10人以上 | 180万円 | 180万円 | ||
60円コース | 60円以上 | 1人 | 60万円 | 110万円 |
2~3人 | 90万円 | 160万円 | ||
4~6人 | 150万円 | 190万円 | ||
7人以上 | 230万円 | 230万円 | ||
10人以上 | 300万円 | 300万円 | ||
90円コース | 90円以上 | 1人 | 90万円 | 170万円 |
2~3人 | 150万円 | 240万円 | ||
4~6人 | 270万円 | 290万円 | ||
7人以上 | 450万円 | 450万円 | ||
10人以上 | 600万円 | 600万円 |
※ 10人以上の上限額区分は、特例事業者が対象です。
特例事業者
特例事業者とは、以下の1.~3.のいずれかに該当する事業者です。
1.賃金要件:事業場内最低賃金920円未満の事業場
2.生産量要件:新型コロナウイルス感染症の影響により、売上高や生産量等の事業活動を示す指標の直近3か月間の月平均値が、前年、前々年又は3年前同期に比べ、15%以上減少している事業者
3.物価高騰等要件:原材料費の高騰など社会的・経済的慣行の変化等の外的要因により、申請前3か月間のうち任意の1月の利益率(売上高総利益率又は売上高営業利益率)が、前年同期に比べ、3%ポイント以上低下している事業者
助成対象経費の拡大
特例事業者のうち、上記の2.または3.に該当する場合は、下記の経費も助成対象となります 。
生産性向上に資する設備投資
- 定員7人以上又は車両本体価格 200 万円以下の乗用自動車
- 貨物自動車
- パソコン、スマホ、タブレット等の端末と周辺機器の新規導入
- 生産性向上等に資する設備投資等に関連する経費
関連する経費
広告宣伝費、汎用事務機器、事務室の拡大、机・椅子の増設など
業務改善助成金の助成率
助成率 | |
---|---|
900円未満 | 9/10 |
900円以上950円未満 | 4/5(9/10) |
950円以上 | 3/4(4/5) |
()内は生産性要件を満たした事業場の場合
「生産性」とは、企業の決算書類から算出した、労働者1人当たりの付加価値を指します。助成金の支給申請時の直近の決算書類に基づく生産性と、その3年度前の決算書類に基づく生産性を比較し、伸び率が一定水準を超えている場合等に、加算して支給されます。
助成対象経費
助成対象となる経費は「生産性向上・労働能率の増進に資する設備投資等」です。
生産性向上等に資する設備投資等の例
設備投資 | ・POS レジシステム導入による在庫管理の短縮 ・リフト付き特殊車両の導入による送迎時間の短縮 |
コンサルティング | 専門家による業務フロー見直しによる顧客回転率の向上 |
その他 | 店舗改装による配膳時間の短縮 |
助成対象経費の拡大
特例事業者のうち、2.または3.に該当する場合は、下記の経費も助成対象となります 。
生産性向上に資する設備投資
- 定員7人以上又は車両本体価格 200 万円以下の乗用自動車
- 貨物自動車
- パソコン、スマホ、タブレット等の端末と周辺機器の新規導入
関連する経費
関連する経費とは、生産性向上等に資する設備投資等に該当しない経費のうち、生産性向上に資する設備投資等を行う取り組みに関連する費用として、業務改善計画で計上された経費をいいます。
関連する経費のみでの申請はできません。
- 広告宣伝費
- 汎用事務機器
- 事務室の拡大
- 机・椅子の増設 など
業務改善助成金支給までの流れ
- 申請業務改善計画(設備投資などの実施計画)と賃金引上計画(事業場内最低賃金の引上計画)を記載した交付申請書を作成し、都道府県労働局に提出します
- 審査・交付決定都道府県労働局において、交付申請書の審査を行い、内容が適正と認められれば助成金の交付決定通知が行なわれます
- 事業実施交付決定後、提出した計画に沿って業務改善計画と賃金引上計画の実施します
- 事業実施報告事業実績報告書と支払請求書を作成し、都道府県労働局に提出します
事業実績報告書には、業務改善計画の実施結果と賃金引上げ状況を記載します - 審査都道府県労働局において、事業実績報告書の審査を行い、内容が適正と認められれば助成金額を確定し、事業主に通知されます
- 助成金受給助成金が振り込まれます
業務改善助成金についての詳細は厚生労働省のホームページをご覧ください。
> 厚生労働省『業務改善助成金』
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