合同会社の社員とは
合同会社の社員は、一般的な意味での従業員のことではありません。資本金の出資者のことをいいます。株式会社の株主にあたります。
合同会社の社員の資格について
合同会社の社員には、自然人だけでなく法人も社員になることができます。
自然人というのは耳慣れない言葉かもしれません。法人に対して使われる言葉で、「人」のことです。
合同会社の社員は有限責任を負う
合同会社の社員は有限責任を負います。
有限責任とは、会社の負債に対して出資した資産の範囲内で責任を負うことを言います。
合同会社の社員は会社の債権者に直接責任を負うわけではなく、出資した会社に出資額だけの責任を負います。つまり、債権者に対しては間接的に責任を負います。このような責任を間接責任と言います。
間接有限責任を負う点は、株式会社の株主と同じです。
合同会社の社員は会社を設立する時は出資する額の全額を払い込まなければなりません。もし出資をしなかったときは、利息の支払いや損害の賠償をしなければなりません。
合同会社の社員の会社法上の責任
会社法580条(社員の責任)
2 有限責任社員は、その出資の価額を限度として、持分会社の債務を弁済する責任を負う。
会社法582条(出資に係る責任)
社員が金銭を出資の目的とした場合において、その出資をすることを怠ったときは、当該社員は、その利息を支払うほか、損害の賠償をしなければならない。
合同会社では社員全員が業務執行社員
合同会社では原則として、社員(出資者)のすべてが業務執行を行ないます。業務執行を行なうとは、会社の経営を行なうという意味です。
業務の執行を行なう者を業務執行社員と言います。株式会社の取締役にあたります。
このように出資者と経営者が同一であることから、合同会社は基本的に「所有と経営が一致している」と言われます。
これに対して、株式会社は「所有と経営が分離している」と言われます。株主が所有者、取締役が経営者です。
株式会社でも、オーナー会社のように株主と経営者(取締役)が同一のことがありますが、会社と取締役の間には委任の関係があります。
合同会社の代表は代表社員
業務執行社員の中から会社の代表である「代表社員」を定めることもできます。株式会社の代表取締役にあたります。
社員が複数いる場合には、定款で社員の中から業務執行社員を選ぶことができます。
このようにすることで、合同会社は株式会社と同じような機関構成(社員=株主、業務執行社員=取締役、代表社員=代表取締役)にすることができます。
法人が代表社員になるときは、その法人に代わって職務を行う職務執行者を選任します。
合同会社は人的会社
合同会社は人的会社と呼ばれています。
人的会社とは、人間関係が親密で、社員の個性や資質が重要視されている会社のことです。
合同会社は各社員の個性や相互の信頼関係が、経営に反映されやすいと言えます。
複数人で合同会社を設立し経営を成功に導く為には、次の2点が非常に重要です。
- 信頼できるパートナーと会社を設立すること
- パートナーとの信頼関係を維持すること
自分で合同会社を設立しようと思う方に、合同会社の設立手続だけでなく、設立したあと合同会社を運営していくにあたっても役立つ書籍を紹介します。
インターネットにも情報はあふれていますが、まとまった方法を得るには、書籍は有用と思います。
図解 いちばんやさしく丁寧に書いた合同会社設立・運営の本
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「定款自治」で柔軟に運営!!
社員全員「有限責任」なのでリスク小!!
税金を抑えられる!!
【1章】 合同会社とは、どんな会社か
合同会社にはこんな特徴がある
合同会社は日本版のLLC
合同会社に向いているビジネス
【2章】 合同会社設立の準備
合同会社設立の手続きを知る
合同会社における社員の定義
基本事項を決める
書式作成の準備をする
【3章】 定款のつくり方
定款を作成する
定款を印刷する
印刷した定款を製本する
【4章】 登記の申請
登録申請に必要な添付書類を作成する
設立登記申請書を作成する
印鑑届書を作成する
設立登記申請書を綴じる
設立登記申請書を提出する
法人設立ワンストップサービス
【5章】 設立後にするべきこと
印鑑証明書・登記事項証明書を取得する
預金口座を開設する
諸々の届出書を提出する
【6章】 合同会社の運営ポイント
設立費用と設立後の給与について
交際費で指摘を受けないために
決算は事業年度ごとに
電子帳簿保存法の改正
創業時の資金調達について
合同会社の社員の諸々
合同会社は各社員の資本の持分管理をする
「損益の分配」と「利益の配当」
合同会社からの変更
よくわからない合同会社の社員権の取得勧誘に注意
定款記載例
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合同会社設立・登記・運営がまるごとわかる本 第2版
合同会社に関するノウハウを持つ中小企業診断士24名がチームとなって、合同会社の設立・登記・運営について解説した本です。
メンバーの中には、中小企業診断士だけではなく司法書士や社会保険労務士として活動している人もいます。
起業を思い立ったとき、合同会社(LLC)は有力な選択肢です。
本書は、個人事業主との違い、株式会社との違い、設立の期間と費用、定款の記載内容・作成方法とサンプル、登記申請の書類、用意すべき印鑑、税務署・年金事務所・労基署・ハローワーク等への各種届出、設立直後の資金の融資制度、変更登記……等々、合同会社の設立前後のノウハウを、実際の時系列に沿ってまるごと解説するものです。
経験豊かな多数の中小企業診断士が執筆し、司法書士・社会保険労務士・税理士が監修しました。
イチから会社をつくりたい人を応援する1冊です。
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第1章 合同会社設立を思い立ったら
第2章 設立計画を立てる
第3章 基本事項を決め、定款を作成する
第4章 登記手続を行う
第5章 いろいろと届け出る
第6章 設立後1年のあれこれ
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その他には、『合同会社設立&運営 完全ガイド』、『図解入門ビジネス 最新 合同会社[LLC]の設立と運営がよくわかる本』などもお勧めです。