起業する際に、最初に考えなければならないことは何だと思いますか?
自分の得意分野で勝負することと思っている方もいるかもしれません。
確かに自分の得意分野で勝負をするというのは大切です。
しかし、自分がやりたいから、自分が得意だからという理由だけで、商品やサービスを決めてしまって良いのでしょうか?
まずは国内の市場環境を確認してみましょう。
経済成長率は高度経済成長期と呼ばれた時代には年率10%程度でした。それが近年では年率1%程度にとどまっています。
これをグラフにすると経済規模の推移はS字カーブを描いていることが分かります(成長のS字カーブ)。
このS字カーブの傾きが鋭角つまり急成長している部分を成長期と呼び、カーブの傾きが鈍化つまり低成長にとどまっている部分を成熟期と呼びます。
成熟期には多くの商品やサービスが出回り、急激な市場の成長が見込めない事業者同士の競争が激しくなります。
さまざまな商品やサービスが出回った結果、どこにでもあるような特徴のない商品やサービスは見向きもされなくなります。
市場の成熟期においては、事業者は競合他社と差別化し顧客が本当に求める商品やサービスを提供しなければなりません。
こういった環境下で生き残るにはやりたいから、できるからといった理由だけで事業を始めるのではなくて、顧客が求めているからという理由を盛り込んだ事業コンセプトを確立する必要があります。
顧客に求められているかということは、顧客ニーズを踏まえた事業コンセプトを確立することと言えます。
それでは事業コンセプトはどのように作るものなのだと思いますか?
事業コンセプトを考える際には自分がやりたい、できるといった視点だけで決めるのではなく、顧客から求められるという視点もしっかり考慮する必要があります。
やりたいこと、できること、求められることか。そしてこれらを踏まえ「誰に」「何を」「どのように」の切り口で事業コンセプトにまとめていきます。
「誰に」というのはターゲット顧客はどのような人物かということを考えることです。
ターゲット顧客の具体的なニーズを見定めるためにはその顧客がどのようなお困り事を持っているか明確にするといいでしょう。
ターゲット顧客について考える際には、そのお客さんのプロフィールを明らかにしていきます。例えば、お客さんの性別や年代、住んでいる場所、職業、趣味、価値観やライフスタイルの考え方、提供する商品・サービス群の利用頻度などについて検討します。
ターゲットを、より明確にするやり方として、想定するお客さんを究極の一人に絞り、ペルソナとして、プロフィールの詳細を作り上げていく方法もあります。
「何を」というのは提供する商品・サービスのことです。
小売、サービス業であれば、取り扱う商品・サービスの構成や価格帯。飲食業であれば、メニュー構成や価格帯といった内容です。
「どのように」というのは提供方法のことです。具体的には他者とどのように差別化するかということです。
この「誰に」「何を」「どのように」を考える際にはやりたいことできることを求められることを念頭に置くことは言うまでもありません。
他店との差別化としていくら奇抜なアイデアを思い付いたとしても自分がやりたくないことや自分にはできないことあるいは顧客から求められていないことであれば意味がありません。
事業コンセプトのそれぞれの項目について一貫性があるか整合性があるかという点を意識することが大切です。