起業して建設業を始めるにあたって必ず建設業の許可を取らなければならないというわけではありません。
建設業とは
建設業とは、建設工事の完成を請け負う営業をいいます。元請か下請かを問いません。
「営業」とは、利益を得ることを目的として、同種の業務を継続的かつ集団的に行うことをいいます。
「請負」とは、当事者の一方がある仕事を完成することを約束し、相手方がその仕事の結果に対して、報酬を与えることを約束する契約のことをいいます。
建設工事に該当しない業務の例
建設工事に該当しない業務としては、次のようなものがあります。
- 剪定、除草、草刈り、伐採
- 道路・緑地・公園・ビル等の清掃や管理、建築物・工作物の養生や洗浄
- 施設・設備・機器等の保守点検、(電球等の)消耗部品の交換
- 調査、測量、設計
- 運搬・残土搬出・地質調査・埋蔵文化財発掘・観測・測定を目的とした掘削
- 船舶や航空機など土地に定着しない動産の築造・設備機器取付
- 自家用工作物に関する工事
建設業の許可とは
建設業の許可が必要な者
次の方は、建設業の許可が必要です。個人か法人かを問いません。
- 建設工事の発注者から直接工事を請け負う元請負人
- 元請負人から建設工事の一部を請け負う下請負人(二次以降の下請負人も同様です)
ただし、次に掲げる「軽微な建設工事」だけを請け負う場合は、建設業の許可は必要ありません。
許可が不要な軽微な建設工事
建築一式工事
次のいずれかに該当する場合は、建設業の許可は不要です。
- 一件の請負代金が1,500万円未満の工事(消費税込み)
- 請負代金の額にかかわらず、木造住宅で延べ面積が150㎡未満の工事
建築一式以外の建設工事
- 一件の請負代金が500万円未満の工事(消費税込み)
※建築一式工事とは、建物の新築・増築などの総合的な工事をいいます。
建設業の業種
営もうとする建設工事の種類(29業種)ごとに、建設業の許可が必要です。
建設業の許可の区分
知事許可と大臣許可
建設業の許可は、知事許可と国土交通大臣許可に区分されます。
(1)知事許可
一つの都道府県内にのみ営業所(※)を設けて建設業を営もうとする場合は、知事許可が必要です。
(2)国土交通大臣許可
二以上の都道府県内に営業所を設けて建設業を営もうとする場合は、国土交通大臣許可が必要です。
この場合、営業所ごとの業種が違っても大臣許可となります。
「営業所」とは、本店、支店など建設工事の請負契約を常時締結する事務所をいいます。
営業所といえるには、少なくとも次の要件を備えていることが必要です。
- 請負契約の見積り、入札、契約締結等の実態的な業務を行っていること。
- 電話、机、各種事務台帳等を備えた事務室が設けられていること。
代表者の自宅などを営業所と兼用している場合は、事務室部分と住居部分が明確に区分されていること。 - 1.に関する権限を付与された者が常時勤務していること。
- 技術者が常勤していること。
単なる登記上の本店、事務連絡所、工事事務所、作業所などは、営業所としては認められません。
一般建設業と特定建設業
建設業の許可は、一般建設業と特定建設業に区分されます。
(1)特定建設業許可
建設工事の最初の発注者から直接工事を請け負う(元請)者が、1件の工事について下請代金の額(下請契約が2以上あるときはその総額)が4,000万円(ただし、建築一式工事は、6,000万円)以上となる下請契約を締結して工事を施工する場合は、特定建設業の許可を受けなければなりません。(なお、この金額には、元請が提供する材料等の価格は含まれない。)
(2)一般建設業許可
上記(1)以外の場合は一般建設業の許可が必要です。
同一の建設業者が、ある業種については特定建設業の許可を、他の業種については一般建設業の許可を受けることができます。しかし、同一業種について、特定建設業許可・一般建設業許可の両方を受けることはできません。
業種別許可制
建設業の許可は、建設工事の種類ごと(業種別)に行います。
建設工事は、土木一式工事と建築一式工事の2つの一式工事のほか、27の専門工事の計29の種類に分類されています。
この建設工事の種類ごとに許可を取得することが必要です。
例えば、一式工事の許可を受けた建設業者でも、500万円以上の他の専門工事を単独で請け負う場合は、その専門工事業の許可が必要です。
建設業許可の有効期間
建設業の許可の有効期間は、5年間です。許可のあった日から5年目の対応する日の前日をもって満了します。
有効期間の末日が、土曜日・日曜日・祝日等の行政庁の休日に当たる場合も同様です。休日の翌日が満了日にはなりません。
5年ごとに更新を受けなければ許可は失効します。
許可を更新するには、許可の有効期間が満了する30日前までに更新の申請を行なうことが必要です。
建設業許可を受けた後に必要な手続き
建設業許可を受けた後に必要な手続きには、以下のものがあります。
- 更新申請
- 決算変更届(決算報告書)の提出
- 変更届の提出
- 業種追加申請、般・特新規申請
- 許可換え新規申請
- 廃業届の提出
1.更新申請
建設業許可の有効期間は5年間です。引き続き許可を受けて建設業を営業する場合は、更新申請が必要です。有効期間が満了する3カ月前から30日前までに申請する必要があります。
2.決算変更届(決算報告書)の提出
毎事業年度終了後、4カ月以内に決算変更届(決算報告書)を提出しなければなりません。
3.変更届の提出
商号・名称、所在地、役員などの変更をした場合は、30日以内に変更届を提出しなければなりません。
経営業務の管理責任者や専任技術者が交替した場合などは、2週間以内に変更届を提出しなければなりません。
4.業種追加申請、般・特新規申請
許可を受ける建設業種を追加する場合は、業種追加申請が必要です。
一般建設業・特定建設業の区分を変更する場合は、般・特新規申請が必要です。
5.許可換え新規申請
現在許可を受けている行政庁以外の行政庁に対して新たに許可を申請する場合には、新たな許可行政庁に許可換え新規申請をする必要があります。
6.廃業届の提出
許可業者であることを止めたり、許可の要件を欠いた場合等は、30日以内に廃業届を提出しなければなりません。