定款を作成して公証人による認証を受ける
株式会社を設立するには、定款を必ず定めなければいけません。
株式会社の設立時に最初に定めた定款(原始定款といいます)は、公証人による認証を受けなければなりません。
定款を作成する
定款とは、会社の憲法とでもいうべきもので、会社の基本的なルールを定めるものです。会社は、この定款に従って運営されます。
会社は必ず定款を作成しなければなりません。
「設立基本事項決定」で決定した事項を基に作成します。
定款の認証を公証人に受ける
会社設立時に最初に作成された定款を原始定款といいます。株式会社の原始定款は、公証人の認証を受けなければ効力を生じません。
定款の認証は、本店所在地を管轄 する法務局または地方法務局に所属する公証人に受けなければなりません。
定款の認証は、定款に署名または記名押印をした発起人全員が公証役場に出向いて行 なうのが原則です。
発起人のうちの1人や、第三者を代理人として選任することもできます。この場合は出向かない発起人からの委任状が必要です。委任状に は、実印を押印します。添付資料として、印鑑証明書が必要です。
実質的支配者となるべき者の申告について
2018年(平成30年)11月30日から、株式会社の設立時の定款認証を受ける際「実質的支配者になるべき者の申告書」の提出が必要となりました。
株式会社の「実質的支配者となるべき者」とは、次の者です。
- 設立する会社の議決権の総数の50%を超える議決権を直接または間接に有する者
- 上記1がいない場合は、設立する会社の議決権の総数の25%を超える議決権を直接または間接に有する者全員
- 上記1および2のいずれにも該当する者がいない場合は、出資・融資・取引その他の関係を通じて、設立する会社の事業活動に支配的な影響力を有する者全員
- 上記1,2,3いずれにも該当する者がいない場合は、設立する会社を代表し、その業務を執行する者(代表取締役)
「実質的支配者になるべき者の申告書」は、公証役場で定款案をチェックしてもらう際に一緒に提出します。
実質的支配者となるべき者の申告についてはこちらをご覧ください。
定款認証にかかる費用
公証人の定款認証手数料 | 3万円~5万円 |
収入印紙代 | 4万円 |
謄本交付手数料 | 2千円程度 |
2022年1月1日より定款認証の手数料が下記のように変更されました。
設立する会社の資本金等の額が
・100万円未満の場合:3万円
・100万円以上300万円未満の場合:4万円
・その他の場合:5万円
定款に記載されている「資本金の額」または「設立に際して出資される財産の価額」が基準とされます。
定款の記載事項
定款には、次の3つの記載事項があります。
絶対的記載事項
定款に必ず記載しなければならない事項です。記載がないか、その内容が違法の場合は、定款が無効とされます。
- 目的
- 商号
- 本店の所在地
- 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
- 発起人の氏名または名称および住所
- 発行可能株式数(原始定款には定めなくても構いません、会社が成立するまでに定款を変更して定めなければなりません。)
相対的記載事項
定款に記載しなくても定款の効力に影響はありませんが、定款で定めないと効力が認められない事項です。以下は一例です。
- 変態設立事項
- 現物出資
- 財産引受け
- 発起人の報酬その他の特別の利益
- 設立費用
- 公告の方法
- 株式の譲渡制限に関する定め
- 基準日
- 非公開会社での取締役、監査役、会計参与の任期伸長
- 非公開会社での取締役が株主でなければならない旨の定め
- 取締役会、監査役、会計参与の設置
- 取締役会招集期間の短縮
- 取締役会の決議 等
任意的記載事項
定款に記載しなくても定款の効力に影響はなく、定款で定めなくても効力が認められる事項です。
公序良俗、法律に違反しない限り何でも記載できます。
以下は一例で、これらには限りません。
- 株主総会の議長
- 定時株主総会の招集時期
- 事業年度
- 役員の員数
- 設立時役員の選任 等
定款記載例
電子定款
定款をPDFファイルにして、電子署名を付したものが電子定款です。電子定款の場合、収入印紙を貼る必要がないため、印紙代(4万円)を節約できるというメリットがあります。